Q 日本人は働き過ぎで、ワーク・ライフバランスと言われていますが、年間労働時間は年々減っていると聞きました。実際どうなのでしょうか?
A 一人当たりの年間総実労働時間は確かに減少していますが、実は見かけ上減っているだけです。
労働時間の推移
日本人は働き過ぎであると言われています。
では、実際に1年間どのぐらい働いているのでしょうか?
厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査」によると、ここ20年では1996(平成8)年の年間1919時間が1番多く、その後年々減少しています。2009(平成21)年はリーマンショックの影響で年間1733時間となっていました。その後やや増加したものの、2016(平成28)年は1724時間とここ20年では1番少なくなっています。20年で年間175時間も労働時間が減少していることになります。
実は労働時間は大きく減っている訳ではない
実はこれには少々カラクリがあります。まず、この数値は事業所規模5人以上で、パートタイム労働者を含むものであることを申し添えておきます。
さて、労働者を一般労働者とパートタイム労働者に分けて年間総実労働時間をみてみます。
一般労働者は、1996(平成8)年が年間2050時間、2016(平成28)年が2024時間。26時間の減少となっています。
一方で、パートタイム労働者は、1996(平成8)年が年間1176時間、2016(平成28)年が1050時間となっており、126時間の減少になります。
このように就業形態別にみると微減と言ったところです。
では、なぜ年間総実労働時間が大きく減っているのか?
それは、パートタイム労働者の比率が高まったからです。結局のところ見かけ上全体の総実労働時間が減少しているだけなのです。
これらから考えられる課題
●パートタイム労働者の割合が増えている理由はどうしてだろうか?
非正規雇用が増えているだけだろうか?
高齢者、女性、障がい者をパートタイム労働者として雇用するようになったからだろうか?
●時間外労働の規制に関して法整備が進められているが、一般労働者の労働時間を減らすことは出来るのだろうか?
生産性を向上させて、労働時間を減らしていけるのだろうか?
さあ、自社の課題が見つかったら改善策を策定・実行しましょう。