腎疾患による障害認定基準のポイント
▼腎疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、人工透析療法の実施状況、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものである。
▼腎疾患による障害の認定の対象はそのほとんどが、慢性腎不全に対する認定である。
すべての腎疾患は長期に経過すれば腎不全に陥る可能性をもっている。
その腎疾患とは、糖尿病性腎症、慢性腎炎(ネフローゼ症候群を含む)、腎硬化症の他、多発性嚢胞腎、急速進行性腎炎、腎盂腎炎、膠原病、アミロイドーシス等である。
▼人工透析療法施行中のものは2級と認定される。しかし、長期間かけて悪化しているため初診日が十数年前のこともありその証明に苦慮することも少なくない。
認定基準
【1 級】
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
【2 級】
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
【3 級】
身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
慢性腎不全及びネフローゼ症候群での検査項目及び異常値の一部と腎疾患による障害の程度を一般状態区分から各等級に相当すると認められるものの一例
【慢性腎不全】
区分 | 検査項目 | 単位 | 軽度異常 | 中等度異常 | 高度異常 |
ア | 内因性クレアチニンクリアランス | mL/分 | 20以上30未満 | 10以上20未満 | 10未満 |
イ | 血清クレアチニン | mg/dL | 3以上5未満 | 5以上8未満 | 8以上 |
※eGFR(推算糸球体濾過量)が記載されていれば、血清クレアチニンの異常に替えて、eGFR(単位はmL/分/1.73㎡)が10以上20未満のときは軽度異常、10未満の時は中等度異常と取り扱うことも可能です。
【ネフローゼ症候群】
区分 | 検査項目 | 単位 | 異常 |
ア |
尿蛋白量 (1日尿蛋白量又は 尿蛋白/尿クレアチニン比) |
g/日 又は g/gCr |
3.5以上を持続する |
イ |
血清アルブミン (BCG法) |
g/dL | 3.0以下 |
ウ | 血清総蛋白 | g/dL | 6.0以下 |
【1級】
【2級】
【3級】
この他の検査成績にも腎臓の状態を示すものがあります。すべての検査結果をご提示ください。
人工透析療法施行中のものについては、原則として次により取り扱う
・人工透析療法施行中のものは2級と認定する。なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査成績、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。
・障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3月 を経過した日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とする。
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