就労と障害年金


就労について、障害認定基準等では、主に精神の障害において謳われています。

 

実際、精神の障害による障害年金請求および年金の更新時には、就労していることによって、認定を受けられなかったり、等級が下がったり、または支給停止となったりするのではないか?という不安が付きまとうのではないでしょうか。

 

実際、障害認定基準等にどのように謳われているのかを確認してみます。

 

障害認定基準


国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(平成29年12月1日改正)で就労について謳われている内容を確認します。

 

 

精神の障害


■統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害

日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

 

 

 

■症状性を含む器質性精神障害

【症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む)とは・・・】

先天異常、頭部外傷、変性疾患、新生物、中枢神経等の器質障害を原因として生じる精神障害に、膠原病や内分泌疾患を含む全身疾患による中枢神経障害等を原因として生じる症状性の精神障害を含むものである。

なお、アルコール、薬物等の精神作用物質の使用による精神及び行動の障害(以下「精神作用物質使用による精神障害」という。)についてもこの項に含める。

また、症状性を含む器質性精神障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

 

 

日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

 

 

■知的障害・発達障害

就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。

したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

 

 

神経系統の障害


疼痛は、原則として認定の対象とならないが、四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛、脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛、根性疼痛、悪性新生物に随伴する疼痛、糖尿病性神経障害による激痛等の場合は、疼痛発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚的所見等により、次のように取り扱う。

 

【ア】 軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは、3級と認定する。

【イ】 一般的な労働能力は残存しているが、疼痛により時には労働に従事することができなくなり、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるものは、障害手当金に該当するものと認定する。

 

 

 

精神の障害に係る等級判定ガイドライン


国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン(平成28年9月)で就労について謳われている内容を確認します。

 

総合評価の際に考慮すべき要素の例


まとめ


精神の障害については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断されます。

 

例えば、一般就労の正社員(フルタイム勤務)で、長期間就労が継続している場合は、下位等級の可能性も検討されます。

一方で、障害者枠での就労、A型施設等での就労や就労しても短期間しか続かない場合などは、日常生活能力が向上したとは判断されにくいのかもしれません。

もちろん、個人個人の状況により異なります。

 

 

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