最近は、個人のライフプランや事情に応じた多様な働き方が好まれるようになっています。
そのため、企業も従業員の確保や定着率向上のためだけではなく、働きやすい職場づくりのため多様な働きかをみとめるようになってきています。
今回は、多様な正社員制度の1つである「勤務地限定社員制度」について書いてみます。それでは詳しく見てみましょう!
「転勤あり」は好まれなくなってる
全国に事業所がる企業、全国ではないものの複数地域に事業所がある企業。これらの企業では、転勤を命じられる社員が出てきます。
以前は、会社の命令で転勤や単身赴任するのは、当然と言う考え方が主流でしたが、働き方やライフプランの多様化、価値観の変化などに伴い、転勤をせずに1つの場所で生活することを求める方が増えています。
そのため、企業側もキャリア形成やワーク・ライフバランスの実現、優秀な人材の確保などの観点から、勤務地を限定する制度を導入することが増えています。
勤務地限定社員制度の種類
全国に事業所がある企業の事例として、3つの区分に分けるケースをご紹介します。
なお、各区分の名称はそれぞれです。
① 全国対応社員
まさに、全国転勤ありの社員です。各地の事業所で経験を積んで、昇格していくスタイルです。
当然、引っ越しや単身赴任が付きまといます。
② (広域)地域限定社員
全国ではないが近隣都道府県などエリアで分けて、そのエリア内の事業所間の転勤はありというタイプです。
「自宅から○時間以内で通勤可能事業所」には異動があり得るとする場合もあります。
各企業の事業場の分布や職務の種類などにより分け方は異なります。
例えば、本社がある都道府県に隣接している都道府県にしか事業所がない場合は、①と②はあまり変わりないです。
③ 事業所・勤務地限定社員
採用された事業所から転勤はない。自宅から○分以内で通勤可能な事業所にのみ異動の可能性がある。などです。
このタイプは、転居をすることはないというイメージです。
処遇などの違い
前述の①~③で、役割などが異なるため、処遇に差をつけるケースはあり得ます。
例えば、①は原則的な基本給を支給するが、②の場合は①の95%、③の場合は①の90%にするなどです。
③を選択していた社員にどうしても転勤してになってもらいたい職務があっても原則転勤させることは出来ません。
ですが、本人との話し合いの結果、同意を得られれば転勤してもらうことも可能です。
その場合、処遇は①のものに変更する必要があります。
本社機能が1か所にしかない場合、例えば総務や人事などの職種の人は①を選択していても転勤の可能性がないというケースもあります。
現場担当の場合で、各地に事業所があれば当然転勤の可能性があります。そうすると職種によって可能性に差が出てしまいます。転勤を希望しない社員が不公正と感じることもあり得ます。
まとめ
- 近年は転勤を希望しない社員が増えている。
- 転勤可能エリアなど区分を設けて、勤務地を限定する制度を導入することは企業も社員もメリットがある。
- 転勤可能範囲などで処遇に差をつけることは可能であるが、不公平感を感じさせてしまう可能性もある。