【社労士が解説】潰瘍性大腸炎による障害年金請求

【ポイント】

  • 潰瘍性大腸炎の方は障害年金を申請して、受給が認められれば年金を受け取ることができます。  
  • 潰瘍性大腸炎で障害年金を申請する場合、「病歴・就労状況等申立書」という申請者が作成する書類に「発病から現在までの経緯」について記入する必要があります。
  • 申請に必要な書類を準備するのに時間がかかってしまい、なかなか申請を完了することができないことがあります。当事務所では申請のサポートをしております。準備の時間や手間、ストレスから解放されます。

  

 

潰瘍性大腸炎で障害年金を考えている人へ

― 初めてでも理解できる“やさしいガイド” ―

 

潰瘍性大腸炎は、症状の波が大きく、仕事や日常生活に影響が出やすい病気です。

「外出が不安」「仕事を続けるのがつらい」

そんな状況が続くと、障害年金のことが気になりますよね。

ここでは、障害年金に詳しくない人でも理解できるように、潰瘍性大腸炎で申請を考えている方が知っておくべきポイントを分かりやすくまとめました。

■潰瘍性大腸炎で障害年金の対象となりうる症状


潰瘍性大腸炎は、厚生労働省の認定基準でも「障害の対象となり得る病気」とされています。

特に、症状が生活や仕事にどれだけ影響しているかが重要です。

 

<審査のポイントとなりやすい症状・状態>

  • 下痢・血便が頻繁で、外出や勤務が困難
  • 強い腹痛や倦怠感で長時間の作業ができない
  • トイレの回数が多く、業務に支障が出る
  • 食事制限や体力低下で日常生活が制限される
  • 入退院を繰り返している
  • ステロイドなどの副作用で生活に支障がある
  • 寛解と再燃を繰り返し、安定した生活が難しい

 

特に「寛解期があるから軽い」と誤解されがちですが、再燃時のつらさや生活への影響を正しく伝えることが大切です。

■障害年金の受給要件


1.初診日に被保険者であること

障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日に加入していた年金制度により請求する年金が変わります。

 

初診日に厚生年金保険に加入していた

会社員、会社役員など。 障害厚生年金の請求となります。

 

初診日に国民年金に加入していた

自営業、厚生年金保険に加入している夫(または妻)の扶養、学生など。 20歳前や、60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で、日本国内に住んでいる間に初診日があるときも含みます。 障害基礎年金の請求となります。

 

初診日に共済年金に加入していた

公務員の方。 障害共済年金(障害厚生年金)の請求となります。  

 

 

2.一定の障害の状態にあること

 

障害認定日とは?

請求する傷病の初診日から起算して1年6月経過した日又は1年6月以内にその傷病が治った場合においては、その治った日(症状が固定し、治療の効果ができない状態に至った日を含む)を言います。

20歳前に初診日があり、初診日から1年6月経過した日が20歳に到達する前であれば、20歳に到達した日(20歳の誕生日の前日)が障害認定日となります。

 

診断書が必要

この障害認定日時点で一定の障害の状態にあると認められる必要があります。ですから、障害認定日時点(障害認定日以後3か月以内。障害認定日が20歳に到達した日の場合、その前後3か月以内)の診断書が必要になります。 ただし、請求日時点で障害認定日から1年以上経過している場合は、現在の状態についての診断書も必要になります。

 

障害認定日時点では、症状が軽かったなど、障害等級を満たしていなかったが、その後症状が重くなった場合などには、障害年金を申請することができます。これを事後重症請求と言います。 この場合は申請する時点(現在)の診断書が必要になります。

 

 

3.保険料の納付要件を満たしていること

初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていることが必要です。ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
(1) 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2) 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

 

「初診日の前日」が判定日となっている理由

例えば、初診日以降に保険料が未納であったことに気が付き、遡って納付したとしてもそれは認めませんと言うことです。  

 

 

 

■障害年金の種類


 

障害基礎年金と障害厚生年金

初診日に加入していた制度により申請する年金が変わります。 これは前述したとおりです。

 

■障害年金はいくらもらえるのか?

障害基礎年金の年金額

【1級】 約104万円 + 子の加算

【2級】 約83万円 + 子の加算

<子の加算> 第1子・第2子 各 約24万円 第3子以降 各 約8万円

※ただし、子とは次の者に限る 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子 20歳未満で障害等級1級または2級の障害者

 

障害厚生年金の年金額

【1級】 (報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(約24万円)〕

【2級】 (報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(約24万円)〕

【3級】 (報酬比例の年金額) ※最低保障額 約62万円

※加給年金は対象となる配偶者がいる場合のみ 報酬比例の年金額は「平均標準報酬(月)額」と被保険者期間の月数から算定します。 月数が300月に満たない場合は、300月とみなして計算されます。 なお、障害厚生年金の1級と2級は障害基礎年金も受給できます。 3級は障害厚生年金のみの受給となります。   

■障害年金の等級と潰瘍性大腸炎での目安


■障害の程度:1級

身体の機能の障害等により、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のもの。

例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるものである。

 

<潰瘍性大腸炎の場合のイメージ>

他人の助けがないと自力では日常生活がほとんどできない

排便管理ができず、食事やトイレが自力で難しい

寝たきり、長期入院が継続している

 

 

■障害の程度:2級

身体の機能の障害等により、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のもの。

例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。

 

<潰瘍性大腸炎の場合のイメージ>

トイレの回数が非常に多く、外出や勤務がほぼ不可能

強い倦怠感や腹痛で家事も困難

入退院を繰り返し、安定した生活が送れない

 

 

■障害の程度:3級

労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

 

 <潰瘍性大腸炎の場合のイメージ>

フルタイム勤務が難しく、短時間勤務や休職を繰り返している

トイレの頻度が高く、業務に支障が出ている

体力低下で通常の作業がこなせない

 

 

等級は「症状の重さ」だけでなく、生活・仕事への影響 が大きく関係します。

 

■障害年金は遡って申請できます


 障害認定日から1年以内の請求するのが本来の申請パターンです。ですが、実際には1年を過ぎてから申請される方も少なくないです。

 1年を過ぎていても、障害認定日時点と現在の診断書を取得して年金申請することは可能です。これを認定日請求と言います。遡及請求と呼ぶ方もいます。

 ただし、障害認定日時点の診断書が取得できない、症状が軽かったなどの場合は認定日請求は難しいです。

 診断書が取得できない場合とは、カルテが廃棄されている、閉院している場合などです。また、カルテはあるものの情報が少ないために、診断書内容が薄っぺらくなってしまうこともあります。  

 

■年金受給の時効

 認定日請求は、障害認定日の診断書が取得できれば、障害認定日は例えば20年前でも請求は可能です。 ただし、年金の受給権には時効があります。時効は5年です。 ですから、20年前の診断書で等級が認められても、遡って受給できるのは5年分になります。 5年分ですが、金額的には数百万円になることも少なくありません。

 なお、時効が5年だからと言って、5年前の診断書で申請することは出来ません。勘違いされている方もいらっしゃるようです。  

■他の制度との関係


 

■障害者手帳

障害者手帳と障害年金は別の法律、別の制度です。ですから、等級は同じにはなりません。 障害者手帳が2級だから、障害年金も2級になるということではありません。  

 

■傷病手当金

同一の傷病で、傷病手当金と障害年金を同時に受給する場合は、傷病手当金が調整されます。

 

傷病手当金 > 障害年金 → 障害年金との差額が傷病手当金として支給される
傷病手当金 < 障害年金 → 傷病手当金の支給なし


なお、認定日請求で遡及して障害年金を受給した時に、同一月で傷病手当金と障害年金の両方を受給することになる場合があります。

この場合は、傷病手当金を返金しなくてはならないこともあります。  

 

■申請に必要な書類


 

必要な書類は、請求のパターン、転院歴、傷病、家族構成等により異なります。

 

 

■障害基礎年金で必要な主な書類

・ 年金手帳・基礎年金番号通知書(本人):提示またはコピー提出
・ 住民票(続柄の記載があるもの)
・ 戸籍謄本(戸籍全部記載事項証明書):子の加算対象のお子さんがいる場合
・ 所得証明書・課税(非課税)証明書:20歳前に初診日がある障害基礎年金を請求する時。本人のもの
・ 在学証明書・学生証:子の加算対象の高校生がいる場合
・ 診断書:現在、障害認定日
・ 受診状況等証明書:初診と診断書作成医療機関が異なる時
・ 病歴・就労状況等申立書:発病から現在までの状況を本人が記載する書類
・ 障害給付請求事由確認書:障害認定日から1年以上経過した認定日請求の場合
・ 障害者手帳:コピー提出
・ その他

 

 

■障害厚生年金で必要な主な書類

・ 年金手帳・基礎年金番号通知書(本人・配偶者):提示またはコピー提出
・ 住民票(続柄の記載があるもの)
・ 戸籍謄本(戸籍全部記載事項証明書):配偶者がいる場合
・ 所得証明書・課税(非課税)証明書:配偶者のもの
・ 診断書:現在、障害認定日
・ 受診状況等証明書:初診と診断書作成医療機関が異なる時
・ 病歴・就労状況等申立書:発病から現在までの状況を本人が記載する書類
・ 障害給付請求事由確認書:障害認定日から1年以上経過した認定日請求の場合
・ 障害者手帳:コピー提出
・ その他

 

■申請のポイントと注意点


潰瘍性大腸炎の申請でつまずきやすいポイントを確認してみましょう。

 

ポイント① 初診日の確認

障害年金では「最初に医療機関を受診した日」が非常に重要です。

カルテが残っているかどうかも確認しておきましょう。

 

ポイント② 病歴・就労状況の整理

症状の変化、仕事への影響、入院歴などを時系列でまとめます。

寛解期だけでなく、再燃時のつらさ をしっかり書くことが大切。

 

ポイント③ 医師への伝え方

診断書は最重要書類です。

医師に「普段どれだけ困っているか」を具体的に伝えましょう。

 

<例>

トイレの回数

仕事で困っていること

体力の低下

食事制限の状況

再燃の頻度

など

 

ポイント④ 書類の不備に注意

障害年金は書類の量が多く、煩雑なため準備に時間がかかってしまうものです。

また、記入漏れや誤りがあると修正や差し戻しになることもあります。

 

■まとめ

潰瘍性大腸炎は、見た目では分かりにくい病気ですが、生活や仕事に大きな負担を抱えやすい病気です。

障害年金は、そんなあなたの生活を支えるための制度。

「自分は対象じゃない」と思い込まず、まずは情報を集めてみることが大切です。

■申請手続きを代行します


煩雑な書類作成や年金事務所対応を自分で行うのが難しい場合、時間がかかってしまう場合は、申請の手続きを代行します。

自分で時間をかけて申請するより、任せて素早く申請することにより、トータルの受給額が多くなることがあります。

 

実際にあった事例では、自分で申請するのに1年かかった方がいらっしゃいます。代行して1~2か月で申請していれば、10カ月分多く受給できていた計算になります。

代行費用を差し引いても多く手元に残り、経済的メリットがあったと言えます。

 

当事務所では、医療に精通した社会保険労務士が対応いたします。

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